発芽期の甜菜における細胞壁画分の結合型サッカラーゼの存在とその性質について

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成熟期の甜菜主根スライスのエイジング中に生成される結合型サッカラーゼと比較する目的で,発芽時の甜菜結合型酵素の性質を検討した. 1) 発芽過程における結合型サッカラーゼの全活性は播種後2日目で最大で,その後減少し,5日目以降はほぼ一定のレベルを保った.しかし,その比活性と細胞壁重量当りの活性は,いずれもほぼ一定であった.遊離型サッカラーゼでは,全活性はほぼ一定で,比活性に変動がみられた. 2) 発芽過程における,可溶性糖類の消長ではシュクロース,還元糖とも2日目で最も多く,以後,急速に減少し,5日目以降はほとんど検出されない. 3) 細胞壁画分からの結合型サッカラーゼの溶離には,塩化ナトリウムが効果的であった.0.3Mから溶離がみられ,0.8M以上では,ほぼ一定であった.また,40〜45%の溶離されない結合型酵素が細胞壁画分に残存していた. 4) 塩化ナトリウム溶離結合型酵素の一般的性質では,最適pHはpH 4.0〜5.0の間にあり,最適温度は30分間の反応で50°C,pH安定性ではpH 4.0〜7.0の間で安定であり,熱安定性では15分間前処理で37°C以下で安定であった.基質濃度の影響では,シェクロースを基質にした場合,Km値は1.35mMであった. 5) 結合型サッカラーゼの溶解性におよぼす塩化ナトリウム濃度の影響は,0.1M以下で不溶化がおこり,0.2M以上で可溶性であった. 6) 発芽時の結合型サッカラーゼと成熟期主根スライスのエイジング中に生成される結合型酵素の分子量の比較をゲル濾過法で検討すると,ほぼ同じ位置に溶出されることから,両者はほぼ同じ分子量をもつことが推定された.
社団法人日本農芸化学会の論文

発芽期の甜菜における細胞壁画分の結合型サッカラーゼの存在とその性質について

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