日本ナシ黒はん病菌 (Alternaria kikuchiana TANAKA) に対する抵抗性に関する研究 (第10報) : 日本ナシに含まれるフェノール性物質と菌の産出する品種選択性毒物質による葉のかつ変との関係
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概要
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1. 日本ナシの葉にはフェノール性物質として, アルブチン, クロロゲン酸, クロロゲン酸の異性体, コーヒー酸, カフェイン酸およびカテキン類の存在が認められた.2. フェノール物質のうち主要なものはアルブチンとクロロゲン酸類であり, これら物質はナシの二十世紀幼果にも多量に含まれていた.3. 長十郎と二十世紀との間にはこれらフェノールパターンに差がなく, また含量の差もないものと思われた.したがつて日本ナシの黒はん病菌の抵抗性機作をフェノール性物質の存否ならびに含量変化では説明できないものと思われた.4. フェノール性物質のうち, アルブチンやクロロゲン酸類は幼葉から成葉まで多く含み, age が進むと減少する. 他方カテキン類は age が進むと含量が多くなつた.5. K-IIIを二十世紀幼葉に処理し, フェノール性物質の含量変化を調べた結果, アルブチンおよびクロロゲン酸類の著しい減少が認められた.6. アルブチンとクロロゲン酸をナシの葉から抽出した polyphenol oxidase で酸化させた結果, 両物質ともかつ変した. したがつてこれら両物質ともK-IIIによる葉でのかつ変の基質となるものと考えられた.
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