クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第4報) : クリタマバチによる感受性および抵抗性品種のゴール形成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. ゴール形成は7月下旬から始まり, 柔組織を構成する若い組織は幼虫を包みこむようにして肥大, 隆起する. 8月下旬, 幼虫はゴール組織内に埋没し, この時期以降になると感受性品種では個々のゴールのゆ着が始まるのに対し, 抵抗性品種ではかつ変え死組織が維管束系にみられるようになり, 抵抗性が発現される.またリン片等 age の進んだ組織に幼虫が接触した場合や産卵が生長点など組織が若い場所に行なわれた場合には抵抗性品種のみならず感受性品種にもゆ傷コルク層が形成され, かつ変が生じていた. ゴールの肥大は感受性品種では順調に進行するのに対し, 抵抗性品種では8月下旬頃からえ死組織が形成され, この出現頻度が時間の経過とともに多くなり, 翌年になるとえ死組織の形成されていないゴールはなくなる. またゴールの肥大も抵抗性品種ではきわめて劣る.2. ゴール組織内の核の形態や核酸あるいはタンパク質などの反応はゴール初期は感受性, 抵抗性品種ともに同じようであるが, 10月以降, 感受性品種のそれらは著じるしく hyperplastic に変化するのに対し, 抵抗性品種では著じるしくない.3. 幼虫の口器には色素で染色される腺が若干あり, ゴール形成はこのまわりより起こる. またほかの二, 三の理由から, ゴール誘導物質は口器から分泌されていると考えられる. 幼虫の消化管内にはPAS反応陽性物質とファーストグリーンFCF可染物がある. また幼虫の発育は抵抗性品種のゴール内のものが劣り, この原因は抵抗性品種にみられるIII型抵抗性反応の形成に起因していると思われる.
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第1報) : シバグリ新梢樹皮中のポリフェノール性物質の季節的変化
- クリの種および品種におけるポリフェノール性物質, ならびにその含量とクリタマバチ抵抗性との関係
- Cymdidiumの生長点培養における器官形成(第7報) : シュンラン菌根茎の抽出液について
- Cymbidium の生長点 (茎頂) 培養における器官形成 (第5報) : 野生シュンランの根茎における食菌現象 phagocytosis の解剖学的, 組織化学的研究
- Cymbidium の生長点培養におげる器官形成 (第4報) : プロトコーム抽出液のサイトカイニン活性について
- Cymbidium の生長点 (茎頂) 培養における器官形成 (第6報) : 不定根形成に対する光及び培養基の影響について
- Cymbidium の生長点培養における器官形成 (第3報) : シュンランの rhizome-tip からの shoot 形成過程についての組織学的研究
- Cymbidium の生長点培養における器官形成 (第2報) : 暗培養における生長物質の与える影響について
- Cymbidium の生長点培養における器官形成 (第1報) : 連続照明下における培養基添加物の与える影響について
- 愛知県におけるペカンの開花と結実に関する研究
- ブドウ果粒中のオーキシンおよびアブシジン酸様物質の季節的消長について
- 作物化学調節の3本足 : 作物診断学の発展をねがって
- ブドウの花穂の発育に伴うサイトカイニン, 光合成および呼吸活性の変化について
- ブドウの樹液中の内生ホルモンについて
- ブドウ果粒の発育, 特に成熟に伴う光合成および呼吸の変化
- 温州ミカン園の蒸通発量
- クリの接木親和性に関する研究 (第1報) : 台木の違いが穂の発育および無機成分に及ぼす影響
- ブドウ (品種巨峰) の一番果および二番果の着果と発育におよぼす摘心時期の影響
- ブドウ果粒中のサイトカイニン活性について
- 温州ミカンの着果負担に関する研究 : (第5報)着果樹と不着果樹の炭水化物経済について
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第9報) : 感受性および抵抗性品種の芽のポリフェノール含量について
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第10報) : 芽組織のかつ変形成とポリフェノール性物質の組織内分布
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第11報) : 感受性および抵抗性品種のゴール組織と健全組織のポリフェノールオキシダーゼおよび2, 3のデヒドロゲナーゼ活性について
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究(第7報) : 感受性および抵抗性品種の茎のカルス形成におよぼすクリタマバチ幼虫抽出液, オーキシンおよびサイトカイニンの影響
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究(第6報) : クリタマバチ幼虫抽出液によって形成された人工ゴールについて
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第8報) : クリの健全組織およびゴール組織ならびにクリタマバチ幼虫中の糖およびアミノ酸について
- 温州ミカンの着果負担に関する研究 (第1報) : 葉および茎の浸透価, 溶質比, 可溶性固形物含量, 含水量などの日および季節的変化について
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第5報) : クリタマバチ幼虫に含まれるサイトカイニン活性物質ならびに幼虫抽出液によるクリのカルス形成
- 日本ナシ黒はん病菌 (Alternaria kikuchiana TANAKA) に対する抵抗性に関する研究 (第11報) : 日本ナシの葉から抽出したβ-glucosidase 活性におよぼす品種選択性代謝毒物質の影響について
- 日本ナシの黒斑病菌 (Alternaria kikuchiana TANAKA) に対する抵抗性に関する研究 (第7報) : 自然病斑から host-specific toxin の単離とその toxin の毒性軽減物質について
- 日本ナシの黒斑病菌 (Alternaria kikuchiana TANAKA) に対する抵抗性に関する研究 (第6報) : Alternaria kikuchiana TANAKA の生産する host-specific toxin の単離
- 日本ナシ黒はん病菌 (Alternaria kikuchiana TANAKA) に対する抵抗性に関する研究 (第10報) : 日本ナシに含まれるフェノール性物質と菌の産出する品種選択性毒物質による葉のかつ変との関係
- 温州ミカンの水分均衡に関する研究 (第1報) : 葉の飽和水分不足度より見た Water balance の変化
- 温州ミカンの着果負担に関する研究(第3報) : 葉果比が収穫期の樹体内炭水化物含量ならびに翌春の着花数•新葉数に及ぼす影響
- ラン種子の無菌発芽に関する研究 (第1報) : Cymbidium種子の発芽および発育について
- 秋季の土壌水分含量が温州ミカンの果実の発育と果汁の成分におよぼす影響
- クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第4報) : クリタマバチによる感受性および抵抗性品種のゴール形成
- 日本ナシの黒斑病菌 (Alternaria kikuchiana TANAKA) に対する抵抗性に関する研究 (第9報) : 葉の呼吸におよぼす品種選択性代謝毒物質 (K-III) の影響
- 温州ミカン葉のクロロフィル含量に関する研究
- 温州ミカンの着果負担に関する研究-2-浸透価,可溶性固形物含量,含水量の相互間の相関関係および組織粉末比重の季節変化について