クリの接木親和性に関する研究 (第1報) : 台木の違いが穂の発育および無機成分に及ぼす影響
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概要
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1. 日本グリ (C. crenata) として銀寄と柴グリ, 中国グリ (C. mollissima) として宮川20号を播き, 育苗し, これに銀寄と傍士グリを接いでこの親和関係を4年間観察した。2. 銀寄の台木として, 銀寄, 柴グリ, 中国グリ台はそれぞれよい親和を示した。傍士グリの台木として C. crenata に属する品種は, はなはだしい不親和を示したが, C. mollissima に属する宮川20号とはよく親和した。そこで一般的には中国系のクリの台木としては中国系の台木を用いるのがよいのではないかと思われる。3. 台木を同じくしたとき, 傍士は銀寄に比べ地上部に灰分, K, Caの含量が高かつたが, Mg, Mnの含量は少ない傾向があつた。4. 銀寄について, C. crenata 台と C. mollissima 台を比較すると前者では地上部に灰分, K, Caの集積が多く, Mg, Mnの吸収が少ない傾向があつた。5. 傍士について, C. crenata 台と C. mollissima 台を比較すると前者は後者に比べて, 葉, 枝梢, 根に灰分, K, Caの集積が多く, Mg, Mnの吸収が少ない。その結果 C. crenata 台のものはMgあるいはMn欠乏症状をあらわしやすかつた。6. 葉の乾物100g中のK, Ca, Mg, Mnの吸収量をミリグラム当量で示すとC. crenata 台がつねに大, C. mollissima 台はつねに小であり, K/Ca, Mg/Ca, Mn/Caは全くこの逆であつた。特に, C. crenata 台の傍士はこの比が顕著に小さかつた。この組み合わせの不親和現象は両者の靱皮部, 形成層などの afnnity の陥にも原因があることと思うが, 穂における塩基の比率が平衡を失なうことも不親和の原因の一つではないかと論議した。
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