保険医学からみた民間医療保険の課題
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概要
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医療保険は,生・死を支払対象とする死亡保険と異なり,支払事由が多岐にわたり多様かつ複雑である。「医療費と入院期間中の所得保障」の性格を併せ持つものの,わが国で最も普及している民間医療保険である疾病入院給付特約保険を例に,保険医学(医的危険選択)の立場から,日本保険医学会誌に掲載された論文を中心に医療保険の課題を検討した。医療保険にも選択効果が認められるが,その特徴は死亡保険と異なっていた。「公平の原則にのっとり,最小限のコストで,安定した危険差益を確保する」といった危険選択の使命を医療保険においても果たしていくために,正確に告知しやすい専用告知書の作成,責任開始期後2年経過した入院は責任開始期以後の原因とみなす約款規定の見直し,給付日額・日数に対する妥当な上限設定,長期保険期間の短縮,健康情報収集手段の上手な組み合わせ,モラルリスクにも留意した的確な引受査定,などの対応が望まれる。
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