医的査定からみた生命保険

概要

論文の詳細を見る
医的査定の経験を通じて得た生命保険に対する筆者の私見を述べた。引受・支払において,査定者の経験・病態生理学的知識等に基づいた査定が行われる場合もあるが,「科学的根拠に基づく査定」が最も望ましい。告知書の目指すところは,告知義務違反を問わずに済み,また告知義務違反を問わざるをえない場合であっても,契約者側に説明すれば,ご納得いただける内容であろう。医学・医療の進歩により,重篤な疾患を患っていても,長期生存が可能となった現在,約款上の可争期間を2年から商法に定められた通り5年に延長すべきと考える。定額保険の生命保険ではあるが,災害関係商品は,第三分野商品と位置づけ,割合払い制度を導入すれば,紛争例が減少するものと期待される。自殺は,保険の基本をなす公序良俗と偶発性に欠けており,商法にしたがい,永久免責も検討すべきではなかろうか。射倖契約である生命保険の根本を揺るがしかねない「不必要入院」の防止は,保険事業の健全な維持・発展のため,極めて重要である。入院治療適応の医的根拠の確立と入院に関する約款上の明確な定義が必要と考える。
2004-12-17