差動熱伝導度法におけるキャリヤー流量および温度変化の影響
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概要
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多成分系混合ガス中の特定成分の濃度検出に用いる差動熱伝導度計は試料側および比較側セルの動特性が完全に等しいことを必要とするが,両セルのフィラメントのわずかな不ぞろいに対してはフィラメントを含むブリッジ回路に入れたセル平衡用ポテンショメーターで供給電流を相互に増減することでキャリヤーガスの熱伝導度変化に不感のブリッジを構成することができる.本報においてはこれに引き続きキャリヤーガスの流量およびセルの温度変化の影響について検討した.ヘリウム20~60m<I>l</I>/minの範囲においては,流路内での流速分布の変動に基因するブリッジ出力電圧の変化があり,セル電流100mAのとき1m<I>l</I>/minの変化あたり約0.1mm(0.04mV)が観測された.この変動値は直通形,半拡散形,拡散形セルに共通である.また2%二酸化炭素を含むヘリウムを用いて測定した検出感度は流量およびセルの形態に無関係で,検出感度の決定要素はフィラメント特性であることが明らかとなった.セルの温度変化による出力電圧のドリフトは,両フィラメントの供給電流の加減で消却できるが,このためのセル平衡用ポテンショメーターの設定位置は,上記キャリヤーガスの熱伝導度変化に不感のポテンショメーター位置と若干の相違があることが判明した.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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