同種骨髄移植1年後に繰り返し出現した肝実質炎:慢性移植片対宿主病の1型か
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概要
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24歳男性.慢性骨髄性白血病のため,1988年同種骨髄移植を受け,約380病日目,全身倦怠感,黄疸を伴う肝炎を発症した.皮膚,十二指腸粘膜,唾液腺生検などではGVHDの所見は認めなかったが,間接クームステスト,抗核抗体,Shirmer testは陽性を示した.肝生検所見の主体は,胆汁うっ滞を伴う肝実質炎であったが,グ鞘へのリンパ球浸潤と小型胆管上皮の核の大小不同,胞体の好酸化など肝GVHDを特徴づける組織所見も認めたため慢性GVHDとしてプレドニゾロンにて治療を行なった.約550病日目微熱,黄疸のため再入院,施行した第2回生検では,小葉中心性の肝実質炎性の変化が主体であり,小型胆管の核異型や胞体の好酸性腫大は殆ど認められなかった.その後肝機能異常や臨床所見は,免疫抑制剤によく反応した.治療中の症例での肝GVHDの組織所見は未だ十分に理解されていないが,本例のように,肝実質炎優位の肝病変もGVHDにより発生する可能性も示唆された.
著者
-
中沼 安二
金沢大学第2病理
-
小林 健一
金沢大学第1内科
-
金子 周一
金沢大学第1内科
-
野々村 昭孝
金沢大学病理部
-
松下 栄紀
金沢大学第1内科
-
鵜浦 雅志
金沢大学第1内科
-
稲垣 豊
金沢大学第1内科
-
寺田 光宏
金沢大学第1内科
-
池田 直樹
金沢大学第1内科
-
松田 保
金沢大学第3内科
-
本多 政夫
金沢大学第1内科
-
塩原 信太郎
金沢大学第3内科
-
野々村 昭孝
金沢大学病院病理部
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