1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死 : 電顕観察による原因ウイルスの検出
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概要
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養殖クルマエビの大量死の原因を解明するため, 自然発症および実験感染個体のリンパ様器官および胃について電顕観察を行った。その結果, 自然発症および実験感染個体いずれにも同じウイルスが観察された。ウイルスのビリオン (直径130±9nm) は, やや楕円形を呈する桿状のヌクレオカプシッドと核内でde novoに形成される3層構造のエンベロープからなり, ヌクレオカプシッドの大きさは直径が約84±6nm, 長さ約226±29nmであった。本ウイルスは封入体を形成せず, 核内で増殖することからDNAウイルスと考えられ, ビリオンの形態や大きさからバキュロウイルス科あるいはポリドナウイルス科に属すると推測される。また, ビリオンの形態やサイズ, 封入体形成の有無, 標的器官, ビリオンの成熟様式などの面で本ウイルスと完全に一致する既報のクルマエビ類の病原ウイルスは無く, 本ウイルスは新しい病原ウイルスと考えられた。
著者
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井上 潔
独立行政法人 水産総合研究センター 養殖研究所
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三輪 理
水産庁養殖研究所
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井上 潔
水産庁養殖研究所玉城庁舎
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中野 平二
熊本県水産研究センター
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平岡 三登里
山口県内海水産試験場
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桃山 和夫
山口県内海水産試験場
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木村 武志
熊本県水産研究センター
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大迫 典久
水産庁南西海区水産研究所
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井上 潔
水産庁養殖研究所
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