常温および低温暴露めん羊の肝切片におけるパルミチン酸の酸化機構

概要

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常温 (20℃, 相対湿度70%) および低温 (0℃, 相対湿度70%) 暴露4日後のめん羊の肝切片を用い, パルミチン酸の1位のCおよび全位のCの代謝の相違を明らかにすることを試みた. 等しい放射能量を有する [1-14C]-パルミチン酸および [U-14C]-パルミチン酸を用い, 肝切片におけるパルミチン酸の消費量, 1位のCおよび全位のCの酢酸生成への寄与率および14CO2生成量を測定した. 常温および低温環境の [U-14C]-パルミチン酸の消費量を, それぞれ [U-14C]-パルミチン酸と比較した場合, 有意差は認められなかった. しかし, 常温および低温環境においてパルミチン酸の全位のCの酢酸への寄与率 (26.05±14.24, 38.18±11.48%) は, 1位のCの寄与率 (1.41±0.87, 2.77±1.45%) のそれぞれ18.48倍, 13.78倍であった.一方, 常温および低温環境において [U-14C]-パルミチン酸に由来する14CO2生成量 (122±42, 168±19n Ci/3h/2g wet tissue) は, [1-14C]-パルミチン酸に由来する14CO2生生成量 (224±73, 260±36n Ci/3h/2g wet tissue) のそれぞれ0.54倍, 0.65倍であった. 以上の結果から, 常温および低温環境下で飼育しためん羊の肝切片によるパルミチン酸の酸化機構について, 酢酸生成についてはパルミチン酸の各位のCが等しい割合で酢酸へ変換し, CO2生成についてはパルミチン酸由来acetyl Co Aの1位のCが2位のCよるCO2へ酸化されやすいが, 2位のCもCO2へ酸化され, その傾向は0℃で強いことが示唆された. また, 低温に暴露しためん羊の肝切片の代謝活性は常温下においたものよりも高い傾向にあるように思われた.
社団法人日本畜産学会の論文

常温および低温暴露めん羊の肝切片におけるパルミチン酸の酸化機構

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