〈戦争〉の記憶
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概要
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1995年に日本社会に起こった2つの大きな出来事、「阪神・淡路大震災」と「地下鉄サリン事件」、および、30年前に発生した「光化学スモッグ事件」は、さしあたって、その現相的光景の一致を挺子に、いずれも、〈戦争〉という隠喩で語られた。本論では、まず、そうした隠喩の具体例を挙示しつつ、〈戦争〉という隠喩の使用は、単に、表層的な事象の一致に基づくのではなく、これらの出来事が、いずれも、一箇の生活世界、剴切には、一箇の生活世界をそれたらしめている規範的規制が、総体として動揺・崩壊した状態(〈戦争〉)を招いた事実に由来することを指摘した。次に、この規範的規制の動揺とは、廣松(1982)の言う「所与的契機i一所識的契機i成態」の根幹的動揺にほかならず、したがって、〈戦争〉の記憶とは、上記の二重成態の回復過程--前者に力点を置く「記憶」と、後者に力点を置く「記録」の2種類が想定される--であることについて論じた。
著者
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