電動歯ブラシによるプラークコントロール効果について
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概要
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生活の質が問われる昨今,国民の健康志向の向上ならびに口腔衛生に関する関心の高まりは顕著である.わが国では,歯口清掃が日常の生活習慣として定着しており,手用歯ブラシを補完するものとして電動歯ブラシを利用する者も多くなっている.そこで本研究では,電動歯ブラシを短期間使用した際のプラークコントロール効果を明らかにする目的で,大阪歯科大学附属病院の学生および職員10名を対象に,QLF(Quantitative Light Fluorescence)測定による歯口清掃度診査や口腔内の健全な状態を健康度として表す口腔年齢の算定をはじめ,口腔内診査,CPI(Community Periodontal Index)診査,PCR(Plaque Control Record),GI(Gingival Index),BOP(Bleeding On Probina)の各診査ならびに唾液中のSM(S.mutans)量,LB(Lactobacillus)量の測定,およびVAS(Visual Analogue Scale)スコアによる聞き取り調査を行い,各項目について手用歯ブラシの使用結果と比較・検討した.その結果,電動歯ブラシ使用1週後には,歯垢の付着状況,歯肉炎の程度,出血の有無の各項目において有意に改善傾向が認められ,口腔内の健康度を示す口腔年齢が被験者の70%で若くなった.また,電動歯ブラシ使用3か月後では,使用1週後よりも,歯垢の付着状況,歯肉炎の程度,出血の有無,および口腔年齢のすべての項目においてさらに改善傾向が顕著であった.またVASスコアでは,電動歯ブラシに対する被験者の満足度が高い結果が得られた.このことから,電動歯ブラシを適切に使用することにより,口腔内の健康度を改善,維持することが可能であり,電動歯ブラシの使用が手用歯ブラシの使用と同様,口腔衛生向上のためのモチベーションとなり得ることが示唆された.一方,50歳代の被験者では電動歯ブラシの操作性あるいは慣れることに抵抗感が見受けられたことから,中高齢者等が電動歯ブラシを使用する際には,適切な操作指導と長期的なフォローを行うことが,電動歯ブラシの継続的な使用,ひいては効果的な口腔衛生向上につながると推察される.
- 大阪歯科学会の論文
- 2013-09-25
著者
-
土居 貴士
大阪歯科大学口腔衛生学講座
-
神原 正樹
大阪歯大・口腔衛生
-
神 光一郎
大阪歯科大学口腔衛生学講座
-
上根 昌子
大阪歯大・口腔衛生
-
上根 昌子
大阪歯科大学口腔衛生学講座
-
神原 正樹
大阪歯科大学
-
川崎 弘二
大阪歯科大学
-
土居 貴士
大阪歯科大学
-
神 光一郎
大阪歯科大学
-
上根 昌子
大阪歯科大学
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