乳歯初期う蝕活動性評価へのQLFの応用

概要

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本研究はQuantitative Light-Induced Fluorescence(QLF)法により乳歯初期う蝕活動性を評価する方法を検討する目的で,人工的初期う蝕病巣の観察を行った.白斑や着色の認められない自然脱落健全乳歯頬側歯面に脱灰処理6時間,フッ化物処理1分間,再石灰化処理18時間,フッ化物処理1分間のpHサイクリング法により人工的初期う蝕病巣を作製した.なお,各試料のフッ化物処理はフッ化物配合歯磨剤を蒸留水で4倍および8倍に希釈した溶液に浸漬・攪拌することにより行い,それぞれ高濃度および低濃度フッ化物処理の2群とした.また,蒸留水のみに浸漬した試料をコントロール群とした.各試料表面の観察はQLFシステムにより行った.まず,コントロール群試料を用い,蒸留水で湿り気を与えた綿球を試料表面に1分間置き,綿球の除去と同時に圧縮空気で試料表面を乾燥させながら2秒間隔で30秒間,試料表面の変化を観察した.次に,蒸留水で湿り気を与えた綿球を試料表面に1分間置き,綿球を除去すると同時にWet試料のQLF撮影を行い,その後試料表面を圧縮空気で10秒間乾燥し,Dry試料のQLF撮影を行った.QLF画像は画像解析ソフトを用いてΔQ,ΔF,およびAreaの解析を行った.また,Wet試料およびDry試料の解析結果の変化の程度を比および差によって初期う蝕の活動性の評価方法を検討した.すべてのQLFパラメータにおいて,乾燥時間が10秒までは解析結果の値が増加し,10秒以降はほぼ一定の値で推移した.次に,Wet試料とDry試料のQLF画像を比較した結果,Dry試料の結果がWet試料の結果よりも有意に大きかった(p<0.05).この変化を比によって検討した場合,ΔFではコントロール群の変化がフッ化物処理群よりも大きく,フッ化物処理群間に差は認められなかった.一方,差によって検討した場合,すべてのΔFおよびΔQの解析結果において,コントロール群の変化がフッ化物処理群よりも有意に大きいことが分かった(p<0.001).以上の結果からQLF撮影時にWetおよびDry両条件下で試料を撮影しその変化をみることによって,乳歯初期う蝕活動性の評価を行えることが明らかとなった.
2009-06-25

乳歯初期う蝕活動性評価へのQLFの応用

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