学童期におけるう蝕経験歯数の度数分布による解析
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概要
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わが国におけるう蝕は若年層を中心に減少傾向にあるが,度数分布の解析は詳細には行われておらず,またその解析には,t分布や二項分布など多様な理論度数分布が用いられている.そこで,本研究では,某小学校および2005年度歯科疾患実態調査の結果から,う蝕罹患状態を度数分布で解析するとともに,その統計解析に用いる理論度数分布の選択の妥当性を検討した.対象小学校の被験者(延べ3,222人)を検診年度および学年別に区分けし,それぞれう蝕経験(DMF)歯数を度数分布で表すとともに,Kolmogorov-Smirnov検定を行って,観測分布とポアッソン分布との適合度を検討した.また,理論度数分布の選択の違いがDMF歯数の平均値の検定結果にどのような影響を及ぼすのかについて検討した.さらに,2005年度歯科疾患実態調査の6〜79歳のデータ(4,155人)を用いて,同様の解析を行った.対象小学校の解析において,DMF歯数は,1995〜2007年度の間に,1〜2年生ではポアッソン分布から対象者がすべてう蝕なしの分布へ,3〜6年生では,左傾化した不定な分布からポアッソン分布へ,それぞれ転換していることがわかった.また,DMF歯数の平均値の検定を行う際に,理論度数分布としてt分布を用いる場合とポアッソン分布を用いる場合との間で,有意性の異なる場合が存在した.さらに,2005年度歯科疾患実態調査データの解析において,DMF歯数の分布は,6〜29歳では,左傾化した不定な分布を示し,とくに6歳,7歳および10歳ではポアッソン分布を示した.また,30〜49歳では正規分布に近似し,50〜79歳では右傾化した不定な分布を示すことがそれぞれ明らかとなった.以上の結果から,わが国における12歳以下のDMF歯数の分布は,フッ化物の集団的応用をしない場合でもポアッソン分布をとることがわかった.また,その統計解析では,理論度数分布の選択によって,平均値の有意差検定の結果が異なる場合があり,とくに若年層におけるDMF歯数の解析では,理論度数分布としてt分布や二項分布を無条件に選択するのではなく,分布適合度の詳細な確認の必要性が示唆された.
- 2009-06-25
著者
-
神原 正樹
大阪歯科大学口腔衛生学講座
-
田中 浩二
大阪歯科大学
-
神原 正樹
大阪歯大・口腔衛生
-
田中 浩二
大阪歯大・口腔衛生
-
三宅 達郎
大阪歯科大学口腔衛生学講座
-
田中 浩二
大阪歯科大学口腔衛生学講座
-
神原 正樹
大阪歯科大学
-
三宅 達郎
大阪歯科大学
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