独立成分分析におけるパーミュテーション問題の確率統計モデルを用いた解決法

概要

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本研究では,周波数領域独立成分分析(FDICA)におけるパーミュテーション問題の確率統計モデルに基づく新たな解決法を提案する.この提案法は,独立成分分析(ICA)に基づく雑音抑圧を利用するハンズフリー電話のような,ハンズフリー音声処理システムに適用されるものである.FDICAでは,各周波数帯域において分離信号の出力順序に不定性がある.この問題をパーミュテーション問題といい,これにより雑音推定性能は著しく劣化する可能性がある.パーミュテーション問題解決の従来法として,音源の到来方位(DOA)に基づく解決法が提案されている.しかし従来法は,実環境において雑音がしばしば拡散性のものであることや,明確なDOAを持たないという問題などにより,パーミュテーション問題の解決に失敗する.そこで本研究では,点音源である音声と非点音源雑音の存在する現実的な環境におけるFDICAのパーミュテーション問題について,音声と非点音源雑音の確率密度関数の形状の違いによる解決法を提案する.また,雑音推定実験の結果より,提案法は従来法に対して著しい性能向上を示すことが確認できた.
2012-07-31