MIRA gel(R)を用いた網膜剥離手術後、眼球摘出にいたった1例

概要

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要約:81歳の女性。右眼上方の眼瞼腫脹を自覚し右眼窩腫瘍疑いにて紹介初診。1989年右裂孔原性網膜剥離に対し強膜内陥術施行、その後再剥離をみとめ失明。MRI T2強調像にて高信号の均質、多房性の腫瘍塊が後方にあり、眼球は外下方に偏位していた。全身麻酔下にてneedle biopsyを施行、均質な無構造の合成樹脂様物質を認め、MIRA gelであると推察した。右角膜突出、眼窩部圧迫感を主訴にて再診、閉瞼不全を認め、右角膜は菲薄化し一部前方突出を認めた。前房は消失し一部虹彩の陥頓がみられた。角膜穿孔の危険性が高く、右眼球摘出、MIRA gelの摘出、義眼床形成を施行した。MIRA gelは変性しており、脆く、崩れて摂子では把持できず一塊としての摘出は困難であった。そのため鋭匙にて掻爬し吸引した。考察:MIRA gelの膨化により右眼球の下方偏位、閉瞼不全、兎眼性角膜炎をおこし角膜菲薄化を生じたと推察した。網膜剥離手術の既往があり、眼窩部の膨瘤、眼窩腫瘍が疑われた場合MRI撮影を行ないMIRA gelの膨化による徴候の可能性を疑う必要があると考えられた。またそのような症状がみられた場合、積極的に除去を行うことが望ましいと考えた。
2012-01-31