非血縁臍帯血移植後にサイトメガロウイルス網膜炎の治療中に免疫回復ぶどう膜炎を生じた1例

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【目的】急性骨髄性白血病に対する非血縁臍帯血移植後にサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎を発症し、経過中に免疫再構築ぶどう膜炎を認めた一例を経験したので報告する。,【症例】52歳男性、2008年7月急性骨髄性白血病に対する非血縁臍帯血移植を施行後、免疫抑制剤タクロリムス(FK506)が投与されていた。同年8月に両側の足背や大腿部に皮疹が出現し、Graft-versus-Host Disease(GVHD)と診断されFK506内服が増量された。移植後2ヶ月の8月末に血中CMV抗原が陽性となり、当院血液内科にてガンシクロビル(GCV)の点滴治療が開始された。2009年1月に霧視を自覚し眼科を受診した。初診時、左眼に豚脂様角膜後面沈着を認め肉芽腫性虹彩炎をきたし、鼻側網膜に血管炎と出血を伴った黄白色滲出斑、硝子体細胞を認めた。前房水のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりCMV-DNAが検出されCMV網膜炎と診断した。骨髄移植後のFK506の投与とすでにGCVの点滴が行われていたため、眼科にてGCVの硝子体注射を行った。虹彩炎、CMV網膜炎は軽快したが、免疫抑制剤を中止した約3週間後、網膜の樹氷状の血管炎を再発した。血液中のリンパ球数の動態から、網膜炎の再発前にリンパ球が減少しその後リンパ球の上昇により免疫機能が回復する過程で網膜炎が再発していた。GCVの硝子体注射を再度行い、バルガンシクロビル(VGCV)の内服に切り替え、樹氷状血管炎は消退した。その後、免疫機能がほぼ正常となった時期に炎症細胞の浸潤による硝子体混濁を生じたが、ステロイド点眼により軽快し良好な経過を得た。,【考察】CMV網膜炎はHIV感染患者以外では臓器移植患者に発症することが知られている。血液疾患による臍帯血移植後に生じたCMV網膜炎では抗ウイルス剤による骨髄抑制により治療の継続がときに困難となる。本症はGCVの硝子体注射と全身投与による加療中に、免疫抑制剤、抗ウイルス剤による免疫抑制がおこっていた。免疫抑制剤の中止後リンパ球数の回復により、全身の免疫再構築がおこったことにより網膜炎の再燃を起こし、免疫回復ぶどう膜炎が生じたものと考えられた。
2012-01-31

非血縁臍帯血移植後にサイトメガロウイルス網膜炎の治療中に免疫回復ぶどう膜炎を生じた1例

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