周防灘南西部における貧酸素水塊形成機構 : 酸素消費速度の変動要因

概要

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1992年夏季に周防灘南西部浅海域で海洋観測を行うとともに,底層水と底泥を採取し,実験室に持ち帰り酸素消費速度を測定した.また,ベルジャー型の容器と明・暗びんを使って,現場での酸素消費速度を測定した.現場での測定結果から躍層下における酸素収支を計算した.躍層下での酸素消費の80〜90%は底層水中の消費であり,底泥による消費は小さかった.また,躍層下において底層水と底泥による酸素消費を上回る酸素生産がみられる場合があった.底層水の酸素消費速度は時間的に変動しており,それは底層水中に懸濁する有機物量に律されていた.懸濁していた有機物の大部分は底層堆積物が再懸濁されたものであると推察された.また,現場における光量子量の測定結果から,本水域では下層において植物プランクトンが光合成を行うに十分な光強度が下層まで透過することが判った.その結果,分解や呼吸等による酸素消費を上回る酸素が生産され,形成されていた貧酸素水塊が解消される可能性が示唆された.
日本海洋学会の論文
1995-02-28