夏季の下波湾の珪藻プランクトン増殖機構に対する急潮の影響
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概要
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急潮による環境変化を明らかにするため,豊後水道東岸の中央部に位置する下波湾でSTD,クロロフィルa.栄養塩類及び植物プランクトン調査を行った.夏季のクロロフィルa濃度は定期的に増減を繰り返し,その変化は急潮による水温変化と関係していた.急潮発生時には貧栄養の暖水塊が湾内に侵入することによって湾内の栄養塩濃度は著しく低下した.急潮後には湾外底層より栄養塩類に富んだ低温水が侵入することによって湾内の栄養塩濃度は増加した.湾内の珪藻プランクトンの密度変化は湾外より供給される栄養塩類特に珪酸塩の濃度変化と密接に関係していた.豊後水道の東岸域では,急潮が上層に周期的に栄養塩類を供給する珪藻プランクトンの増殖機構の一つとして重要な役割を果たしているものと思われる.
- 日本海洋学会の論文
- 1994-08-31
著者
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