周防灘における貧酸素水塊の流入河川水に対する応答

概要

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周防灘における1979年7月の観測データから,表層における河川起源の低塩分水の水平分布が,底層における低酸素水の水平分布と類似していることを示した.また,1989年から1996年までの6,7月の1週間毎の観測データを用いて,周防灘西部における底層の溶存酸素の最小値が,約2週間前の主要河川(山国川)の流量に対して比較的強い負の相関を持つことを見出した.これらの結果は,本海域における貧酸素水塊が,低塩分水の広がる浅海域周辺の底層において,河川流量が増大してから約2週間後に形成されることを示唆する.本研究では,観測された河川流量と塩分分布をもとに,鉛直2次元のボックスモデルを用いて低塩分水周辺の鉛直循環流を算出した.この循環流の中に,河川からの栄養塩の負荷を考慮した簡単な生態系モデルを組み込み,栄養塩の負荷から貧酸素水塊が形成されるまでの過程を検証した.その結果,観測結果と同様に,河川から栄養塩が負荷されてから約2週間後に,岸側下層のボックスにおいて溶存酸素が最低値に達した.さらに,溶存酸素の最低値と貧酸素水塊発生までの時間を決定する要因を重回帰分析により抽出し,これらが鉛直循環流の強さに強く依存することが分かった.
日本海洋学会の論文
2002-08-21

周防灘における貧酸素水塊の流入河川水に対する応答

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