福岡湾の窒素・リン収支
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概要
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福岡湾の富栄養化機構を解明するため1993年4月から1997年3月の4年間にかけて毎月1回の海洋観測を行った.福岡湾は湾の中央に位置する能古島を境として水質・底質が大きく異なることから,湾を湾奥と湾口部に分け,それぞれの海域での全窒素(TN)と全リン(TP)の収支を計算した.河川,下水処理場および降水による湾内へのTNとTPの負荷量はそれぞれ4,838トン/年,209.9トン/年であった.それらの約5割は湾外に流出し(TN:2,174トン/年,TP:106.6トン/年),漁業によるTNとTPの取り上げ量はそれぞれ16トン/年,2.6トン/年と見積もられた.湾奥,湾口部ともに福岡湾はN・Pのsinkとして振る舞っており,Nで2,629トン/年(湾奥部で1,770トン/年,湾口部で859トン/年),Pで100.7トン/年(湾奥部で58.5トン/年,湾口部で42.2トン/年)が湾内に残留し,底質を汚染していることが分かった.福岡湾の富栄養化対策を考える場合,陸からの負荷量の削減だけでなく,覆砂あるいは汚染泥の浚渫などによる底泥からの栄養塩類の溶出の抑制も必要である.
- 日本海洋学会の論文
- 2001-02-23
著者
-
磯辺 篤彦
九州大学大学院総合理工学研究院
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磯辺 篤彦
愛媛大学沿岸環境科学研究センター
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神薗 真人
福岡県水産海洋技術センター豊前海研究所
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佐藤 利幸
福岡県庁漁政課
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池内 仁
福岡県庁漁政課
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杉野 浩二郎
福岡県水産海洋技術センター研究部
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本田 清一郎
福岡県庁水資源対策局
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神薗 真人
福岡原水産海洋技術センター
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