夏季の瀬戸内海周防灘における浮遊微生物群集による酸素消費量
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概要
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周防灘南西部浅海域の下層水中における浮遊微生物群集による酸素消費量を算出し,それらの下層での酸素消費に果たす役割を明らかにするため,1994年と1995年夏季に孔径が300μmのネット及び8μmと1μmのNucleporeフィルターで下層水をろ過後,室内で培養し,それぞれの画分の酸素消費速度及び培養前後の細菌数と微小プランクトン数の変化を調べた.細菌の呼吸活性は,4.1〜27.1×10^<-11>mgO_2/cell/dayの範囲で,この値から計算された細菌による酸素消費速度は0.094〜0.381mgO_2/l/dayであった.これらの値は下層水の酸素消費速度の40.4〜86.6%を占めており,平均すると細菌とプランクトン類による酸素消費の比率は6:4であった.1995年夏季に測定された懸濁物を含む底層水による酸素消費速度とそこでの光合成による酸素生産速度を躍層下(4m)の水柱に換算した値は,平均でそれぞれ2.05と1.38gO_2/m^2/dayであった(神薗ほか,1996).消費を細菌とプランクトン類に分ける(6:4)とそれぞれ1.23と0.82gO_2/m^2/dayになる.プランクトン類による酸素消費速度は,光合成による酸素生産速度を下回っており,当浅海域の下層水の酸素消費は主に細菌の活動によってなされていると推察された.
- 日本海洋学会の論文
- 1996-08-30
著者
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