湾全域から橋脚スケールまでを対象とする海洋数値モデリングの試み
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概要
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湾全域の数十キロメートルスケールから,橋脚の数メートルスケールまでの流動場を同時に計算する一方向の入れ子数値モデルを開発し,これによる福岡湾における流動場の再現を試みた.湾全域の潮流場の計算は,静水圧近似・非構造系格子モデルのFinite Volume Coastal Ocean Modelを使用する.また,橋脚周辺の流れ場の計算は,Marine Environmental Committeeモデルのうち非静水圧・構造系格子モデルの「フル3次元解析モデル」を使用する.福岡湾の全域において潮位及び潮流流速が現実的に再現できていることを,実海域の潮位観測及び係留流速観測で得た潮流調和定数とモデル結果を比較することで定量的に検証した.また,橋脚周辺に形成されたカルマン渦列を伴う収束域の形成を,目視観測した橋脚周辺における浮遊ゴミの収束域と,同時刻のモデルにおける収束域の場所を比較することで定性的に検証した.さらに,橋脚スケールでの非静水圧モデルの有用性を示すため,橋脚周辺の流れ場の計算に静水圧近似モデルを適用して橋脚周辺の流動場を比較すると,渦の発達や鉛直流速の発達に顕著な違いが見られた.これらの違いが,最下層の流速分布の違いなどの構造物周辺の力学場に影響を与えることが示唆された.
- 2011-02-28
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