ヴァヌアツのマラリア流行島嶼におけるIL4多型とIgE濃度
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概要
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血中IgE上昇に帰結するIL4プロモーターの遺伝的変異が,マラリアに対する感受性と相関することが最近の研究によって示唆されてきている.本研究においては集団遺伝学的方法を用いヴァヌアツにおけるマラリア流行度が異なる3島嶼において,IL4-590および+33塩基における変異対立遺伝子頻度,血中総IgEおよび熱帯熱マラリア原虫特異的IgE濃度を調べた.3島嶼は中等度の流行が続くMalakula,中等度の流行だが対策が功を奏しているAneityumおよびマラリア流行がないFutunaである.これらの島嶼住民より採取した血液サンプルよりIL4-590および+33についてそれぞれ計878および750サンプルの解析を行った.変異対立遺伝子頻度はこれら3島嶼間においてC-590Tが0.27〜0.39,C+33Tが0.39〜0.48の範囲で変動した.両対立遺伝子間には顕著な連鎖不均衡が認められた(p<0.001).これら両変異対立遺伝子ともAneityumにおいてはFutunaより高い頻度で認められた(p<0.05).AneityumにおいてはIL4+33位における変異対立遺伝子の存在する群での血中熱帯熱マラリア原虫特異的IgE濃度は有意に上昇していた(p<0.05).しかしながら,これらの関係はMalakulaにおいては認められなかった.本研究はメラネシア住民集団において当該変異遺伝子頻度に関する最初の報告である.見出された変異対立遺伝子頻度はこれまで報告されている,より高いアジア住民集団とより低いヨーロッパ住民集団の中間の値であった.さらにIL4多型が特異的IgEとマラリア病形の関係に関る遺伝的因子の一つであることが示唆された.
著者
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平山 謙二
長崎大学熱帯医学研究所疾病生態
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小早川 隆敏
東京女子医科大学国際環境・熱帯医学教室
-
金子 明
東京女子医科大学・医学部
-
塚原 高広
千葉市立
-
金子 明
カロリンスカ研究所(スウエーデン)
-
平山 謙二
長崎大学熱帯医学研究所
-
ジョジョメニョ マウリ
東京女子医科大学医学部国際環境・熱帯医学
-
菊池 三穂子
長崎大学熱帯医学研究所分子免疫遺伝学
-
ウバレー ラッタワン
長崎大学熱帯医学研究所分子免疫遺伝学
-
大澤 彦太
東京女子医科大学医学部国際環境・熱帯医学
-
塚原 高広
東京女子医科大学医学部国際環境・熱帯医学
-
谷畑 健夫
国立保健医療科学院疫学
-
パールマン ヘドウイク
ストックホルム大学免疫学
-
Ubalee Ratawan
Nagasaki Univ.
-
金子 明
東京女子医科大学
-
谷畑 健生
国立保健医療科学院 疫学部
-
ジョジョメニョ マウリ
東京女子医科大学医学部国際環境・熱帯医学:ガーナ大学公衆衛生学部
-
小早川 隆敏
Department Of International Affairs And Tropical Medicine Tokyo Women's Medical University
-
小早川 隆敏
東京女子医科大学国際環境・熱帯医学
-
大澤 彦太
東京女子医科大学医学部国際環境・熱帯医学:カロリンスカ大学病院マラリア研究所
-
塚原 高広
東京女子医科大学
-
谷畑 健生
国立保健医療科学院 研究課程
-
谷畑 健生
国立保健医療科学院疫学部
-
小早川 隆敏
東京女子医科大学
-
菊池 三穂子
長崎大学熱帯医学研究所
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