アカネズミApodemus speciosusの側溝への落下時期と繁殖期との関連性

概要

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本研究は,アカネズミApodemus speciosusの側溝への落下時期と繁殖期との関連性を調べることを目的とし,アカネズミの雄の精巣サイズと血漿テストステロン濃度を測定し,繁殖期を調べた。実験に用いたアカネズミの成獣雄は延べ35個体であり,静岡県富士宮市において,2003年12月から2004年11月までに捕獲した。精巣長径の周年変化をみると,2月から9月までの一山型を示し,その期間中の大きさは12mm以上であった。一方,精巣重量および血漿テストステロン濃度の周年変化をみると,共に4月と8月にピークを持つ二山型を示し,血漿テストステロン濃度の値は6月に非繁殖期と同様の低い値まで低下した。アカネズミの雄は,精巣の大きさから性的に活発であると判断された場合でも,内分泌学的には不活発な状態の場合があることが明らかになった。さらに,精巣長径より精巣重量の方がテストステロンとの相関が高いことが認められ,アカネズミの雄の繁殖状態を判断するためには,精巣長径より精巣重量を指標に用いた方が適当であることがわかった。これらのことから,側溝への落下時期は繁殖期の活動と関連していると考えられた。
東京農業大学の論文
2009-06-15