広域獣害防止柵の開口部がニホンジカ侵入防止に及ぼす影響
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概要
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広域で設置される獣害防止柵では道路や河川などと交わる場所に柵のない開口部が生じる。本研究ではニホンジカの高密度生息地域である神奈川県丹沢山系に設置された広域獣害防止柵(52km)を対象に,開口部の存在がシカ侵入防止に及ぼす影響について調査した。開口部は2.0箇所/kmの割合で存在しており,道路と河川による開口部が多くほぼ同数(各0.8箇所/km)を占めた。開口部のシカ通過頻度は,開口部幅3.0m以下で有意に低くなった。広域柵には倒木や野生動物の働きによって生じた破損開口部も存在したが,野生動物由来の破損部を通過するシカは少なかった。柵の山側から農地に侵入してくるシカは,開口部1箇所あたり0.24頭/日と推定された。山から里への移動は日没後に,里から山への移動は早朝に活発となった。すなわち,農地への侵入は夜間に行われており,侵入したシカは柵から最遠2kmの農地にまで侵入していた。しかし日没後と早朝に開口部を逆方向に通過する個体も少なからずみられ,それぞれ前者の37%および30%を占めた。これは昼間に人里側のヤブに潜む個体と考えられた。獣害防止のためには人里のヤブ刈り払いが重要といえる。
- 東京農業大学の論文
- 2014-06-25
著者
-
安藤 元一
東京農業大学農学部バイオセラピー学科
-
安藤 元一
東京農業大学
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小川 博
東京農業大学農学部
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鉄谷 龍之
神奈川県環境農政局水・緑部自然環境保全課
-
大岩 幸太
東京農業大学大学院農学研究科畜産学専攻
-
藤田 和宏
公益財団法人神奈川県公園協会
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