人工容器での培養開始時期がニホンウズラ胚の外部計測値とカルシウム及びマグネシウムの含有量に与える影響
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概要
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希少鳥類を発生工学的な手法で増殖させる際に,人工容器による鳥類胚の培養は有用なツールになると考えられる。しかし,人工容器を用いて鳥類胚を胚盤葉期から培養し孵化させる方法は確立されていない。そこで本研究では,ニホンウズラを対象として人工容器培養した胚の形態,カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)の含有量を調べた。人工容器による培養は,胚盤葉期または通常の孵卵を 60 時間行った後に開始した。培養液にはニワトリ水様性卵白 1.5 ml 中に乳酸カルシウム 35 mg または乳酸カルシウム 25 mg+ ウズラ卵殻粉末 10 mg を添加したしたものを使用した。供試胚は,胚盤葉期から 60,120,240 及び 360 時間培養したのち,乾重量,全長,第 3 趾長,眼直径及び嘴峯長を計測した。対照群として操作を加えず通常孵卵した胚を用いた。胚の Ca と Mg 含有量は原子吸光分析法により測定した。胚の外部計測値は,120時間まで全ての培養方法において差は認められなかった。しかしながら,360時間では眼直径を除く全ての項目について,通常孵卵した胚に比べ人工容器で培養した胚で低い値を示した(p<0.05)。また,乾重量,全長及び発生段階の値は,胚盤葉期から人工容器培養を開始した胚,孵卵60時間後から人工容器培養を開始した胚,通常孵卵した胚の順に大きくなり,人工容器での培養時間が長いほど低い値を示した(p<0.05)。眼直径は胚盤葉期から培養した胚が最も低い値を示した(p<0.05)。Ca と Mg の含有量は120時間まで全ての培養方法において差は認められなかったが,240 から 360 時間にかけて急激な増加を示し,360時間においては人工容器で培養した胚が通常孵卵した胚に対して低い値を示した(p<0.05)。しかしながら,人工容器による培養では,すべての調査項目において乳酸カルシウムと卵殻粉末の添加量の違いによる差は認められなかった。以上の結果から,本実験で用いた穴の開いていない人工容器による培養では,人工容器での培養を開始する時期に関係なく,乳酸カルシウムや卵殻粉末を添加しても胚成長に必要な Ca や Mg が充分吸収されないことが明らかとなった。
- 2013-06-14
著者
-
安藤 元一
東京農業大学農学部バイオセラピー学科
-
小川 博
東京農業大学農学部バイオセラピー学科
-
安藤 元一
九州大学農学部
-
安藤 元一
東京農業大学農学部野生動物学研究室
-
安藤 元一
束京農業大学農学部畜産学科
-
安藤 元一
東京農業大学
-
上原 万里子
東京農業大学応用生物科学部栄養科学科
-
上原 万里子
東京農業大学応用生物科学部
-
橋本 光一郎
明治乳業株式会社
-
小川 博
東京農業大学農学部
-
佐々木 剛
東京農業大学農学部バイオセラピー学科
-
福永 一朗
東京農業大学農学研究科畜産学専攻
-
安藤 元一
九州大学農学部動物学教室
-
君羅 好史
城西大学薬学部医療栄養学科
-
橋本 光一郎
東京農業大学農学部畜産学科客員教授
-
福永 一朗
東京農業大学大学院農学研究科畜産学専攻
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