野生動物調査用センサーカメラの機種間性能比較
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概要
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センサーカメラによる自動撮影調査は,野生動物研究に広く使われている。しかし調査によって設置方法や使用機種が異なるために,調査結果を定量的に比較することが困難である。本研究ではセンサーカメラの機種による性能差を明らかにすることを目的に,フィルムカメラ1機種(FieldNoteIIa),デジタルカメラ5機種(FieldNoteDS8000,FieldNoteDS60,GAME SPY D40,Cuddeback ExpertおよびTSC30)および単体センサー1機種(TrailMaster550)を対象とし,各機種のシャッター・タイムラグ,動物検知可能距離,種判別可能距離,検知可能画角,および電池寿命を実験的に比較した。タイムラグは0。6秒から4。5秒まで機種に大きな差があった。大型の動物を検知できる距離は7mから27mまでの差があった。しかし検知距離が長い機種ではフラッシュ光はその距離まで届かなかった。小動物を近距離で撮影した場合,デジタルカメラはすべて被写体が白飛びして種判別が困難であったが,フィルムカメラでは20cmまで近接しても判別できた。センサーの水平検知可能画角も機種によって10~150°と大きな差があり,タイムラグが長いカメラほど検知画角が狭くなる傾向があった。電池寿命はいずれの機種も常温で3週間程度はあり,実用上問題なかった。米国の会社が発売する3機種は,見通しのきく森林において動きの遅い大型獣の存在を確認するための,ハンティング用調査に適した性能を有していた。国産の3機種は近距離の中小動物撮影に適し,汎用性の高い機種といえる。一般的な自然環境調査においては,他の調査と比較できる方法を用いることが重要である。しかしカメラ性能の差が大きくてモデルチェンジが頻繁という現状では,定量的な比較のためには機種の統一を目指すよりも,撮影面積を一定にするなどカメラの設置方法を工夫する方が現実的と思われる。
- 2012-03-00
著者
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