インドネシアにおける障害児教育の史的発達と現状
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概要
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インドネシアでは,1901年にオランダ人の尽力により,バンドンに最初の盲学校が設立されたのを初めとして,その後,聾学校,知的障害養護学校が同じくバンドンに設立された。日本の統治下時代に,これらの障害児のための学校は閉鎖された。第二次大戦が終了し,独立を勝ちとると,1950年代に入り,障害児のための特別な学校が各地に設立されていった。しかし,その多くはヤヤサンと呼ばれる財団が運営する私立の学校であった。当初の教育は,通常の学校の教育に修正を加えるかたちで行われていたが,1977年に特別学校のためのカリキュラムが初めて作成され,これにより,特別学校の存続意義が確認されることになった。こうした流れを受けて,1980年代以降,特別学校の数,教育を受ける障害児の数,及び教員数が増加していった。また,1990年前後には,障害児教育の法的位置づけも明確にされた。加えて,1990年代より,インクルーシブ教育を指向する動きもみられている。しかし,障害児の内,教育を受けている者は5%以下であること,特別学校の多くが私立であり財政的l手厳しい状況にあること,教員の約3分の1が非公務員であること,など解決すべき課題も多い。The first special school for the blind was established in Bandung by the Dutch. After that special schools for the deaf and the mentally retarded were also built in Bandung. These special schools were closed under the rule of Japan. After Indonesia gained independencein 1945, special schools reopened. But most of them were privately managed by foundations, which were called 'yayasan'. In 1977 the first national curriculums for special schools were made. After 1980s special schools. gradually increased and the number of disabled children who received education grew. In 1989 and 1991 the provisions concerning special education were clearly established. After 1990s tendencies towards inclusive education have been found. But some following problems were found under the current situations, that is, 1) under 5% of all disabled children receive some educational services, 2) many of special schools are private, and 3) one thirds of teachers in special schools are non-official, and so on.
- 上越教育大学の論文
著者
-
中田 英雄
筑波大学教育開発国際協力研究センター
-
河合 康
上越教育大学大学院学校教育研究科
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河合 康
上越教育大学
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中田 英雄
筑波大学心身障害系
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中田 英雄
筑波大学
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河合 康
上越教育大学臨床・健康教育学系
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