精神遅滞者の適応行動の構造 : 1因子分析の試み
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概要
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1.AAMDの「適応行動尺度」のわれわれの訳編による日本版によって測定された精神遅滞者の適応行動の構造をあきらかにするために、12才以下児童1971名と13才以上の成人4121名についてのデータの分析を試みた。2.尺度の第I部では27個の下位領域スコアに、第II部では13個の領域スコアに基づく積率相関係数を算出し、これらを基にして完全セントロイド法による因子分析を児童、成人別々に試みた。3.寄与の下降傾向から、第I部、第II部とも意味のある因子は3因子までと判断された。そして、3因子までに抽出された分散の全分散に対する比率は、第1部では児童で62.1%、成人で63.3%、第II部では児童で44.9%、成人で41.8%であった。4.バリマックス回転後の因子行列に基づいて、第I部では、児童、成人共通に、これら3因子がそれぞれ、"身辺自立の因子"、"社会適応の因子"および"個人的・社会的責任の因子"と呼べるものであることが指摘され、第II部では、"反社会的・攻撃的行動の因子"、"自己刺激的行動の因子"および"対人的行動の障害の因子"と呼べるものであることが指摘された。5.第II部の3因子(回転後)については、寄与の序列が児童と成人とで同じであったが、第I部では、"個人的・社会的責任の因子"以外の2因子の寄与の順位において児童と成人とでちがいがみられた。もっとも寄与の大きい因子が、児童の場合には"身辺自立の因子"であり、成人の場合には"社会適応の因子"であった。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1974-06-01
著者
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