特殊学級教師の行動パターンの形成と変化に関する研究 : 第3回総会宿題報告 : 教育における指導者の行動パターン

概要

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以上,6つのパターンを設定し,その型のもつ特徴と種々の要因との関係を,項目別或いはパターン別に述べたが,対象数が少数であり,充分結論的なことをいい得ないが,傾向として次のようなことが云えよう。1)全般的傾向として,特殊学級担任教師をとりまく外的な人的,物的環境条件は,動機,即ち過去との関係よりも,よりつよく,将来の精薄教育にたずさわってゆくか否かの目標に関連している。2)外的条件のうち,普通学級教師との関係は,将来の方向づけに可成り影響を与えており,このことは,教師の指導方針に対する父兄の理解・協力度についても同じ傾向がみられる。3)これらの外的環境条件とパターンとの関係は,動機の自発的であった教師は,将来への態度決定に外的環境条件の影響をうけることは少く,むしろ動機の受動的,ことに,極めて消極的態度の教師が,つよく影響をうけているようである。4)内的環境条件では,年齢については,動機の極めて消極的態度の教師は,他に比して若干高く,経験年数と将来の方向づけでは,全般に共通する傾向として,3年以上の教師は,「やめたい」「転職」の希望が少く,経験2年までの教師は,将来に対して,不安定な状態にある者が多いようで,将来への方向づけに3年という一線を劃すことが出来そうである。5)教師が日常,最もつよく感じている問題点は,直接の担任,指導上に関するものであり,そのうち,共通の問題として上げているのは,「学級編成の適正化」と,「カリキュラム」の問題である。最後にこのささやかな研究を通して感じられることの一つは,ここ2,3年特殊学級が激増するにともない,担任教師の選定,その他に問題がますます増えていると思われることである。それについては,(1)担任選定に当って,教師として、優れた資質のもの,ことに精薄教育に適した資質をもつものを従来より一層考慮すること。(2)未経験者に対する研修により一層力を入れること。(3〕学級編成適正化のために,適当な方法を考慮すること。などが急務であると考える。また現在の普通学校への併設の形式がつづくかぎり,学校内の同僚の協力・父兄,地域社会の理解をより一層深めることが必要なことは当然のことであろう。
日本教育心理学会の論文
1962-03-15

特殊学級教師の行動パターンの形成と変化に関する研究 : 第3回総会宿題報告 : 教育における指導者の行動パターン

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