精神遅滞者の適応行動の構造 : II.発達的変化の分析
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概要
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「適応行動尺度」の日本版の標準化に用いたデータ(12才以下児童1971名、13才以上成人4121名)に基づき、精神遅滞者の適応行動の構造における発達的変化についての分析を試みた。1.第1部の下位領域得点に基づく完全セントロイド法による因子分析の結果得られた主要な3因子のうち、"身辺自立"の因子については、加齢的に寄与率が高くなる傾向があり、"社会適応"の因子では逆に低くなる傾向のあることが確かめられた。第3の"個人的・社会的責任"の因子については寄与率も低く、かつ目立った変化はみられなかった。2.第1部について、主因子解による因子分析に基づいて因子得点を算出し、その加齢的変化をみたところ、"身辺自立"の因子については、ある程度の高さへ収束していく傾向がみられたが、"社会適応"の因子については、低MILではあまり変化せず、高MILでの上昇がみられるために、結果として分散が大きくなることが確かめられた。これらは、寄与率からの発達的変化についての理解を裏づけ、より明確化するものであった。3.MILごとに対象者を群に分け、同様の手続で分析したところ、因子寄与率についても、因子得点についても上記1,2、と論理的に一貫する結果を得た。すなわち、低MILから高MILになるにつれ、寄与率の大きさも因子得点の高さも"身辺自立"から"社会適応"の因子へ移行している。また、"個人的・社会的責任"はどのMILでも分散が小さく、目立った変化はみられていない。4.尺度第2部については、とくに成人で、因子得点が加齢的に全平均値に収束する傾向があり、それは、施設での過度の適応を予想させるものであった。最後に、対象者の個人的条件、施設側の諸条件との関連で、これらの事実が縦断的方法によって確かめられる必要性が述べられた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1976-08-15
著者
-
冨安 芳和
愛知県コロニー発達障害研究所
-
松田 惺
愛知教育大
-
松田 惺
愛知教育大学
-
松田 惺
名城大学
-
村上 英治
名古屋大学
-
江見 佳俊
愛知学院大学
-
富安 芳和
愛知県コロニー・発達障害研究所
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