医療福祉学に基づく健康格差に関する研究(1) : 健康自尊意識(Health Esteem)概念の構築に向けて
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概要
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"本稿の目的は,特に,近年,社会資源の数のみから健康格差を捉える状況にアンチテーゼを唱え,「健康格差」が,健康増進にかかわる資源の実現可能性(利用可能性)と健康増進の資源に対する重みづけ(重要と考えている度合い)の格差であることを明らかにすることである.その中で,Health Esteem(健康自尊意識)という新たな概念を提唱したい.本稿では,健康格差を「本人の自己責任を超えた,社会的要因によって生じた属性に起因する,社会的に許容される一定の範域を超えた健康に関する差である」とし,医療福祉学の視点から健康の定式化を試みる.ただし,社会調査の性質上,医学的な健康状態,客観的重みづけが測定できないため,健康状態を定量的に扱うことは非常に困難である.しかしながら,本稿では,健康状態の測定そのものよりも,その定式の中で用いた実現可能性や重みづけが健康格差の重要な要素であると考える.本稿では,ある要素に対する重みづけが高いということは,HE(Health Esteem)という健康自尊意識が高いと考えた.HEとは,自身の健康を有意味であると捉えることができる意識である.HEは同じく個人の責任を超えた構造の影響を受けると同時に,個人の資質にも影響される.医療福祉学の視点から健康格差を考えるとき,まず我々はHEのどの側面が格差であり,また個人の資質の問題なのかを精査する必要がある."
- 川崎医療福祉大学の論文
著者
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井上 信次
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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小河 孝則
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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熊谷 忠和
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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松宮 透高
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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"井上 信次
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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小河 孝則"
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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小河 孝則
岡山大 医
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小河 孝則
川崎医療福祉大
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小河 孝則
鳥取大学 医学部 保健学科
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小河 孝則
東京都老人総合研究所
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小河 孝則
川崎医療福祉大 医療福祉
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井上 信次
川崎医療福祉大学 医療福祉学部医療福祉学科
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