クズの群落構造に関する研究 : VI.自然群落を構成する個体の越年性地上部の構造

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本研究では,クズの自然群落を構成する個体の越年茎の維管束環数別節間組成ならびに越年性地上部(越年茎+根株の冠部)の長さと生体重の頻度分布を調べ,個体レベルから集団の構造を明らかにしようとした。本研究の結果は,1972年12月下旬から翌年4月下旬にかけて,六甲山系山麓部に当る神戸市東灘区本山町北畑で行ったクズの自然群落調査の際に得られたデーターにもとずいている。群落を構成する個体はそれらの越年茎の節間組成により25のタイプに類別された。調査個体のうちには最高8環の維管束環を形成した節間をもつものがあった。越年性地上部の長さは1cmから62.7m,生体重は0.5gから4,231gの範囲内にあった。調査個体の約53%は長さが1m以下で,約60%は生体重が100g以下であることを認めた。頻度分布は長さ,生体重とも最小階級に属する個体が最多数を占める歪んだ形を示した。上述のように,多様なタイプの節間組成を生ずるのは,茎の枯死と再生におけるのみならず,親株からの発根節の分離においても個体間に差があることが一因となっていると考えられる。また,越年性地上部の小さい個体が多いのは,親株から発根節が頻繁に分離し,しかも単独で,あるいは少数の発根節が連なって分離する場合が多いことによると考えられる。
日本草地学会の論文
1985-07-30

クズの群落構造に関する研究 : VI.自然群落を構成する個体の越年性地上部の構造

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