レッドトップ放牧草地の物質生産 : 2.乾物生産の季節的推移に関与する諸要因-主成分分析-

概要

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レッドトップ優占草地において,放牧条件下で1979年から81年にかけて測定された乾物生産の季節的推移のデータから主成分分析を用いて主要な主成分を抽出,検討し,考察を加えた。その結果,第1主成分は全変動に対する寄与率は30%であり,直立茎の生産速度,および直立茎と地下部の現存量と高い正の相関を示し,「生体部の因子」と考えられた。第2主成分はその寄与率は21%であり,枯死部の生産速度と負の相関が高く,「枯死部の因子」とみなされた。以下,第3主成分は「葉身の因子」,第4主成分は「地下部の因子」とした。これら4つの主成分の累積寄与率は80%であった。第1および第2主成分の値により,早春から晩秋までの乾物重の変動を1)4月上旬から5月上旬にかけてのスプリングフラッシュの時期。2)初夏から夏にかけての放牧期間の前半。3)夏以降,放牧期間の後半。4)早春3月から4月上旬まで。そして,5)放牧終了時から11月中旬までの5つの時期に相応するものと区分できた。そして放牧条件下の乾物現存量の季節的推移を特徴づける部位は,直立茎,地下部そして枯死部が主なものとみなされた。
日本草地学会の論文
1986-01-31