不耕起草地造成における易溶性カルシウム塩の利用 : 第2報石灰の表面施用が土壌,牧草根系および群落構造に及ぼす影響について

概要

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草地の不耕起造成に易溶性カルシウム塩(酢酸カルシウム)を利用した際の効果を解析するために,無施肥対照区,施肥対照区,施肥炭酸カルシウム区および施肥酢酸カルシウム区について,1970年または71年に,土壌水分,有効リン酸含量,根系および群落構造について調査した。得られた結果は次のように要約される。1)土壌水分は処理区間で差はなく,20〜30cmの層に最も多く,10〜20cmおよび0〜10cmの順に減少した。中下層の水分が豊富なことは,易溶性カルシウム塩の施用が草地化を促す一因と思われた。有効リン酸は施肥により表層に増加がみられたが,中下層では各処理区ともほとんど認められなかった。2)根系調査は,酢酸カルシウム区と炭酸カルシウム区の5〜20cmの深さの土層でラジノクローバの根の密度の増加があること,酢酸カルシウム区のラジノクローバの最長根長が大きい傾向があることを示した。3)群落構造に問する調査によれば,オーチャードグラスのSDRはいずれの区でも1または2位を占め,ラジノクローバのSDRは炭酸カルシウム区および酢酸カルシウム区において1または2位を占めており,施肥,施肥とカルシウム施用の組合せによって牧草の生育がよくなるに伴い雑草の種類数が滅じた。A/F比は酢酸カルシウム区のラジノクローバにおいてことに大きかった。密度一順位関係では,酢酸カルシウム区および炭酸カルシウム区のオーチャードグラスとラジノクローバ(1,2位)と3位似下の種との間に著るしい隔りがあった。また,酢酸カルシウム区ではラジノクロバとオーチャードグラスの密度および被度に負の相関関係がみられた。これらの結果から,酢酸カルシウムの施用により草地化はすすんだが,1970年,71年の群落構造の調査によれば,牧草間,牧草・雑草間の関係は安定しておらず遷移段階にあるものと判断される。
日本草地学会の論文
1973-10-25

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