草地農業体系におけるミネラルの循環 : II.牧草地における多量元素の収量について
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概要
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前報において述べた暖地鉱質土壌草地における一年生雑草の生産面における特異な役割りについて,本報ではミネラル収量においてどのように反映させているか,まず6元素の収量に関連して報告する。1)3種混播の永年草地では,4月から6月まではイタリアンライグラスがミネラル収量の大部分をあずかり,ついで7,8月がオーチャードグラス,そして9月以降はメヒシバを主とする一年生雑草群があずかり,全N収量に対して約40%を占めていた。2)刈取回数はミネラルの収量に影響をみないが,N,P_2O_5,K_2Oの施肥量の差は,草地のN,P,Mgの収量に影響を示した。しかしMgの場合はKの施肥量に負に関係する。PおよびKは含有率の間に有意な差を認めていないが,収量としてはかなりの差がみられた。Nの含有率の順位はラジノクロバー>オーチャードグラス>イタリアンライグラス>アオビユ>イヌビユ>メヒシバ>エノコログサであった。3)多肥区(40kgN/10a,20kgP_2O_5/10a,40kgK_2O/10a)のPの収量は5.40g,多肥区の半量である少肥区は3.85gであって,その全収量に対する一年生雑草の占める比率は45.6%であった。4)Kの含有率はOGが最も高く,IRはそれより低い。メヒシバはやや高いが,8,9月に至ると著しく低下する。暖地型草は相対的に低いが,メヒシバはダリスグラスとブルーパニックの間ぐらいに位置する。一年生雑草のK濃度は比較的低いため,K/Ca+Mg当量比の上昇を抑制するのに効果がある。5)一年生雑草のCa含有量は低く,全Ca収量の16〜30%程度である。6)Mgの収量は多肥区で1.97gであるが,少肥区では2.33g/m^2で,明らかに差がある。このなかで一年生雑草の占める比率は前者が53%,後者が36%であった。7)裏作エンバクの場合,5月中旬に6元素の大部分の収量が高まるので,高蛋白でK/Ca+Mg当量比の高いものになるため,その大量給与には考慮をはらう必要がある。
- 1978-04-30
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