乳牛の多量元素代謝におよぼす高カリウム含有乾草摂取の影響
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概要
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グラステタニー発生の一要因であると考えられている高カリウム(K)含有牧草の摂取試験を,オーチャードグラスとイタリアンライグラスの混播草地で調整した乾草を基礎飼料として用いて行い,牛のK耐久性および高K摂取が他の多量元素代謝におよぼす影響を泌乳中の乳牛と乳用雄子牛について比較検討した.試験の成績はつぎのようである.1) 高K摂取により,Mg摂取量に対する尿中への排泄割合が抑制され,ふん中への排泄割合が増加した.その程度は泌乳牛で著しく,したがって収支は負になる機会が多かった.2) 泌乳牛のふん中へのPの排泄は,高K区で摂取量の85.9%,対照区で73.1%で,Pの吸収や排泄の様相もKの多量摂取に影響されるようであった.3) K摂取と飲水量との関係は,個体差が大きく,高い相関が得られなかったが,尿量はK摂取の増加とともに有意に増加した.4) 摂取飼料と尿のそれぞれのミネラル構成におけるKの構成率は相互に高い相関を示し,雄子牛のばあい,Y=0.329x+73.5の有意な一次式が成立し,乾草のK構成率が34.3%のとき尿中のKの構成率が84%となり,CHUVYUROVAの成績と近似した.5) 泌乳牛では,飼料からのK給与量が750mg/kg体重でも異常は認められなかった.雄子牛ではlg/kg体重を給与すると,2〜3週間後に不整脈と後肢の麻痺をみたが,約24時間後にこれはほぼ回復した.6) 乳汁のK/(Ca+Mg)me比および(K+Na)/(Ca+Mg)me比のそれぞれ,0.6と1.0前後で,変動幅が小さいので,体内で調節されていると考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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