野草により造成されたのり面植生の二次遷移について

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北海道東部の山間地(北海道上川郡新得町トムラウシ)において盛土ののり面を野草6種を用いて緑化し,以後6年間にわたってのり面植生の二次遷移を調査した。施工に際して,エゾヨモギは播種し,ヤナギラン,ヤマハハコ,オオイタドリ,クマザサは地下器官を移植し,さらにナガバヤナギは枝条を挿し木した。植生調査の結果はBRAY & CURTISの序列法を用いて解析した。結果の概要は以下のとおりである。1)エゾヨモギは播種後の生長が良好で,高い優占度で推移し,のり面の保全に対しても効果的であった。2)アレチマッヨイグサ,アキタブキ,ワラビ,コヌカグサは造成後から6年間高い優占度で推移した。アカツメクサ,シロツメクサ,タチオランダゲンゲ,コウゾウリナ,ヒメジオンは造成後2〜3年目以降に優占度が高くなった。序列法による植生データーの解析から,これらの種の優占するのり面植生が長期間継続するものと推察された。3)一年生耕地雑草やエゾノギシギシのような多年生雑草は造成後3年以内にほぼ消失した。4)定植した種のうち,ヤナギランとヤマハハコは生長,栄養繁殖とも良好で,のり面を効果的に保全した。ナガバヤナギの生長も良好であったが,クマザサとオオイタドリの生長は悪かった。以上の結果から,のり面緑化用の野草としてエゾヨモギの種子と,ヤナギランやヤマハハコのような栄養繁殖を旺盛に行う野草の地下器官を用いるのが実用的であろう。
帯広畜産大学の論文
1984-12-25

野草により造成されたのり面植生の二次遷移について

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