北海道東部におけるエゾノギシギシとナガバギシギシの年長と種子生産におよぼす刈取りの影響 : II.種子から育成した個体についての異なる生育段階での刈取り
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概要
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異なる生育段階で刈取った時の生長と種子生産におよぼす影響について、エゾノギシギシ(R. obtusifolius L.)とナガバギシギシ(R. crispus L.)で比較検討した。実験は1984年から1986年の間、帯広市において行った。1984年6月14日に両種の種子を播種し、2年目と3年目に時期を変えて刈取った。 1)ナガバギシギシと比べて、エゾノギシギシの方が多くの花茎を生産したが、花茎は低かった。すべての刈取り処理区を平均すると、両種ともほぼ同様の種子を生産した(Table 1)。 2) 2年目と3年目の刈取り前の生育では、ナガバギシギシの方がエゾノギシギシより約1週間早く発芽可能な種子を生産した。5℃以上の積算温度に換算すると、エゾノギシギシの方がナガバギシギシより10-12%高い温度を必要とした(Fig.1,2)。3)種子の豊熟初めの7月上旬に地上部を刈取ると、両種の発芽可能な種子生産は明らかに低下した(Fig.2)。 4)抽苔期から開花期にかけて刈取ると、両種とも再生時に8000粒以上の発芽可能な種子を生産した。一方、種子の豊熟期以降に刈取ると、再生時の発芽可能な種子生産量はナガバギシギシよりエゾノギシギシの方が明らかに高かった(Fig.3)。 5)土壌中の0-20cmの層において、両種の根の分布はほぼ同様であった。一方、20-50cmの層においては、ナガバギシギシよりエゾノギシギシの方が明らかに多くの根の乾物重を分布させていた(Fig.4)。
- 日本雑草学会の論文
- 1988-05-26
著者
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