シロクローバの開花・結実習性 : 3.子房あたり着生胚珠数の集団間および集団内変異
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概要
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シロクローバの子房に着生する胚珠数の変異を,種間,集団間,集団内個体間で比較し,その適応的意義を検討した。シロクローバが属するトリフォリウム属では,多粒胚珠を着生し,多粒種子を稔実させる多粒莢形成から,2粒胚珠を着生し,1粒種子を稔実させる1粒莢形成まで,連続的な種間変異が認められた。シロクローバは典型的な多粒莢形成種であった。また,シロクローバの着生胚珠数は同一個体でも子房により異なるが,全平均でみた出現頻度では,4粒(45.3%)が最も多く,ついで5粒(30.3%),6粒(21.4%)が多かった。この出現頻度は,著しく生育環境を異にする集団間で比較してもほとんど差異がなく,環境要因の影響をあまり受けない形質であることが予想された。しかし,出現頻度を同一集団内の個体間で比較したところ大きな変異が認められ,集団は着生胚珠数についてかなり変異を保有していることがわかった。そこで適応上,より重要と考えられる莢あたり種子数に対して,着生胚珠数がどのような関係にあるか検討したところ,英あたり種子数は着生胚珠数によらず,主として胚珠稔実率によって決定されていることがわかった。これらのことから,着生胚珠数は自然選択圧に対して反応的でないこと,そのためどの集団も同様な個体変異を含むことになり,結局集団全体の比較では,着生胚珠数の出現頻度に差異がほとんど生じなくなるものと推察した。
- 帯広畜産大学の論文
- 1983-06-25
著者
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