わが国に自生するシロクローバ集団における青酸生成遺伝子頻度の地理的変異
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概要
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日本各地から収集したシロクローバの18自生集団について,青酸生成に補足的に関与する2つの遺伝子座の遺伝子頻度を調査した。各集団とも4つの表現型が多型的に存在することが認められたが,青酸配糖体合成遺伝子座およびその分解酵素合成遺伝子座とも優性遺伝子の頻度は低く,それぞれ24.8および17.0%であった。したがって,青酸生成遺伝子型の頻度は17.7%に過ぎなかった。また,遺伝子頻度の地理的変異では,北海道と九州集団で両優性遺伝子頻度が高く,本州集団で低い傾向が認められた。したがって,集団の生育地における1月の平均気温と両優性遺伝子頻度の関係では,ヨーロッパ大陸で認められたような遺伝子頻度の地理的勾配は認められなかった。これらの原因として,外国産種子の絶え間ない混入により十分な隔離が成立しなかったこと,とくに両遺伝子座について優性遺伝子頻度が低いラジノ型の戦後における多量な種子導入と栽培が,わが国,とくに本州地域における自生集団の優性遺伝子頻度を低めたことが指摘された。
- 帯広畜産大学の論文
- 1982-11-25
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