オーチャードグラスの冬枯れに関与する気象的要因
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概要
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北海道東部ではオーチャードグラスに冬枯れが多発する。凍結害および雪腐大粒菌核病害が主要な原因であることが明らかにされているが,発生機作の詳細は明らかでなく,それ故に,発生の場所的,年次的変異もよく説明されていない。そこで1984-1987年の4年間,十勝地方17市町村の冬枯れ程度を調査し,このことを検討した。早春に各地区毎に6-9箇所のオーチャードグラス主体草地を選び,各草地当り40以上の個体について冬枯れ程度を調査した。被害程度は観察により0-6の7段階法で評価し,完全枯死に対する被害積算比で表し被害度とした。被害度と雪腐大粒菌核病の菌核保有株率との間の高い有意な相関は,冬枯れの主要な原因が本病害であることを示した。気象要因との関係では,被害発生のためには根雪前に-15℃以下の低温にあたることが必須条件で,さらに30cm以上の積雪下に長期間おかれた場合に,被害度が大きくなることが認められた。そこで根雪前の低温の極値と30cm以上の積雪日数を気象データから求め,これらを用いてその場所の被害度を推定することを試みた。過去22年間の気象データから求めた十勝地方17市町村の推定被害度は,観察された被害度とr=0.866の有意な相関を示し,推定方法が有効であることを示した。そこでこの方法を用いて北海道全域にわたる170場所および十勝地方の過去22年間にわたる被害度を推定した。推定された被害度の地理的分布および年次的推移は,経験的に知られている被害度と極めてよく一致した。先に能代・平島および尾崎は,雪腐大粒菌核病の被害発生には根雪前に植物がある程度以上の低温ストレスを受けることが必要であるとした仮説を提案した。本結果は,この仮説を強く支持した。
- 日本草地学会の論文
- 1993-06-25
著者
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嶋田 徹
帯広畜産大学畜産学部畜産環境科学科
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嶋田 徹
ホクレン
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嶋田 徹
帯広畜産大学畜産学部
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新発田 修治
北海道グリーンバイオ研究所
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増山 勇
農林水産省農蚕園芸局
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嶋田 徹
帯広畜産大学 飼料作物科学講座
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