4倍体アカクローバの不稔発生機構 : 第5報発生学的異常と稔性の関係

概要

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先に稔実率について選抜し,遺伝学的および細胞学的にも詳細に観察された11個体を材料として,その不稔発生の差異を発生学的異常との関連で検討した。胚珠レベルでみた発生学的異常の発生頻度は胚のう形成異常25.5%,不受精22.8%および胚致死23.1%でほぼ等しく,けっきよく28.6%の胚珠だけが稔実した。しかし,これらの胚珠不稔が実際に子房不稔を生じさせた程度は胚のう形成異常7.4%,不受精16.6%および胚致死18.9%で,発生後期における胚珠不稔ほど大きな不稔要因となった。また,個体間における稔性の差異も主として胚致死によっていた。個体の異常発生に相特異性は認められなかった。また細胞学的不稔要因と発生学的不稔要因との関係はあまり明確でなかった。これは4倍体アカクローバにおける不稔要因の致死作用が一般に比較的弱いためであり,そのため不稔発現が多くの要因の影響を受けて著しく変化するためであると推察された。このような要因の一つとしてアカクローバの結実構造はとくに重要であると考えられた。
帯広畜産大学の論文
1978-06-20