咀嚼能力の評価における主観的評価と客観的評価の関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2004年島根県瑞穂町(現邑南町)における,基本健康診査に参加した610名を対象として,咀嚼能力の主観的評価法として質問紙法を用いて摂取可能食品の状況と,客観的評価法として15秒間グミゼリーを咀嚼し,その分割数を数えた.両評価法を比較検討し,その違いに関して要因分析を試みた.その結果,現在歯数を4群(0/1-9/10-19/20以上)に分けたときに「全食品が噛める」と回答した者は,10-19歯群が最も少なく,「全食品が噛める」と回答した者の割合を縦軸,現在歯数群を横軸としたときグラフはU字形を示した.一方グミゼリー分割数は0歯群が最も少なく,現在歯数依存的に増加した.現在歯数が減少するに従い両者の評価が乖離することがわかった.そこで,それぞれの群において,主観的評価(「すべての食品が噛める」,「噛めない食品がある」)の違いが,グミゼリー分割数の差として現れているか否かについて調べると,現在歯数が少ないほどp値が大きくなり両者間に有意差が確認されにくくなった.さらに,グミゼリー分割数を目的変数とした重回帰分析でも20歯以上の群では主観的評価が有効な説明変数として採用されたのに対し,0歯の群では採用されなかった.したがって,主観的評価は現在歯数が少なくなるほど不正確になっていく可能性があるように思われた.
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 2007-07-30
著者
-
安藤 雄一
国立保健医療科学院
-
富永 一道
富永歯科医院
-
安藤 雄一
国立保健医療科学院口腔保健部
-
安藤 雄一
国立保健医療科学院口腔保健部口腔保健情報室
-
安藤 雄一
国立保健科学院生涯健康研究部
-
安藤 雄一
国立保健医療科学院・生涯健康研究部
関連論文
- 一口30回咀嚼法がメタボリックシンドロームの予防・改善に貢献するか
- 乳幼児歯科健診受診児の母親を対象とした全国歯科保健実態調査における標本の代表性
- 乳幼児歯科健診受診児の母親を対象とした全国歯科保健実態調査 : う蝕有病状況に関する報告
- フッ化物応用委員会報告「わが国の幼児期ならびに学齢期におけるフッ化物配合歯磨剤の使用状況」
- フッ化物洗口プログラム普及に関する構造モデル
- 咀嚼の自己評価に関連する要因 : 国民健康・栄養調査の個票データによる解析
- 平成17年歯科疾患実態調査結果からみた成人の口腔保健の状況
- 高齢者の現在歯数と歯科医療費の関連 : 市町村別データによる検討
- 高齢者の口腔微生物叢に関する研究 : 70歳者の口腔状態と口腔微生物叢
- 70歳高齢者の歯の喪失リスク要因に関する研究
- 経験的ベイズ推定値を用いた市町村別3歳児う蝕有病者率の地域比較および歯科保健水準との関連
- 歯科疾患の地域差の検討 (特集 地域診断・症候サーベイランスに向けた空間疫学の新展開)
- 20-50歳代成人における咀嚼の自己評価と社会経済要因ネットリサーチによる全国調査
- 咀嚼能力の評価における主観的評価と客観的評価の関係
- 地方自治体におけるフッ化物利用に関する施策の現状
- 地域社会が3歳児のう蝕経験に及ぼす影響 : マルチレベル分析を用いた検討
- 都道府県の人口10万人当たり歯科医師数の20年間の変化と歯科大学(歯学部)の特性との関連 : 一般化線形モデル(GLIM)分析による検証
- 日本における集団応用でのフッ化物洗口に関する実態調査 : 第2報 施設別, 都道府県別の普及状況
- フッ化物洗口・家庭応用法の歯科医院における指導に関する全国実態調査
- 医歯学研究における各種統計分布の出現頻度およびモデル解析法の使用状況の年代変遷
- 一地域の歯科医師を対象としたフッ化物応用の実態と望ましい応用形態等に関する調査
- 歯科診療室における予防処置および専門的口腔ケアの実施状況に関する全国実態調査
- 各国の歯科疾患実態調査による高齢者の歯科保健状況に関する国際比較
- フッ化物洗口の都道府県別にみた普及の推移--国の政策が果たした役割の検討
- テキストマイニングによる住民参加型の歯科保健事業の実態基礎調査の分析
- 住民参加型地域保健活動事業におけるNPO法人との連携に関する研究
- 住民参加型保健活動事業の成功要因の分析
- 住民参加型の歯科保健事業の実態基礎調査
- 経験的 Bayes 推定値を用いた市町村別3歳児う蝕有病者率の地域比較および歯科保健水準との関連
- 高齢者の根面う蝕の有病状況と歯冠う蝕との関連
- 「地域歯科保健データバンク」 構築の試み
- ヘルスプロモーション自由集会に参加した本学会員は質的調査研究をどのように捉えているか
- 高齢者歯科保健活動の評価の現状と課題 (特集 地域保健活動における評価の現状と課題)
- 高齢者の現在歯数と歯科医療費の関連 : 市町村別データによる検討
- 国立保健医療科学院「インターネットによる遠隔教育」の受講者アンケート調査報告 (特集:公衆衛生分野におけるeラーニング(遠隔教育)の現状と展望)
- 8020推進財団設立10周年記念 鼎談 10th Anniversary 8020健康長寿社会は実現するか--歯科医学・疫学研究の成果と展望
- 日常の診療における歯科医師と患者とのコミュニケーション
- 歯周病による歯の喪失と栄養摂取 (特集 糖尿病第6の合併症--歯周病)
- 咀嚼と食品・栄養摂取の関連 : 国民健康・栄養調査の個票データによる解析
- 幼児の保護者を対象とした歯科保健指導の効果
- 国立保健医療科学院における遠隔研修の現状と展望 (特集:公衆衛生分野におけるeラーニング(遠隔教育)の現状と展望)
- 受療行動地域住民の歯科受療行動とその要因
- 歯の健康力(2)歯と栄養--平成16年国民健康・栄養調査の結果から
- 日本における集団応用でのフッ化物洗口に関する実態調査 : 施設別,都道府県別の普及状況(2008)
- フッ化物洗口の都道府県別にみた普及の推移 : 国の政策が果たした役割の検討
- 市町村における歯科保健計画策定の支援を目的としたモデル調査事業の有用性
- 神奈川県下の3歳児う蝕における25年間(1981年〜2006年)の変化の地域集積性
- 全国都道府県3歳児dmft指数の25年間(1981-2006)の時系列変化の地域集積性
- 健常高齢者における咀嚼能力が栄養摂取に及ぼす影響
- ウェブ調査(web-based survey)によるフッ化物応用に関するリスク認知
- フッ化物洗口の都道府県別にみた普及の推移 : 国の政策が果たした役割の検討
- ウェブ調査 (web-based survey) によるフッ化物応用に関するリスク認知
- 神奈川県下の3歳児う蝕における25年間(1981年-2006年)の変化の地域集積性
- 全国都道府県3歳児dmft指数の25年間(1981-2006)の時系列変化の地域集積性
- 歯磨剤選択理由にフッ化物配合を挙げた保護者における児童への歯科保健行動の特性
- 早食いと咀嚼の自覚の関連 : Web 調査による検討
- リスク発見・保健指導重視型の成人歯科健診プログラムにおける口腔保健行動の変化
- Web調査による定期歯科受診の全国的概況
- 求人状況からみた歯科診療所における歯科衛生士不足に関する研究 : 日本歯科医師会会員を対象とした全国調査による分析
- 歯磨き習慣に関するアンケート調査(第2報)健康日本21の目標値を見据えた学齢期におけるフッ化物配合歯磨剤の使用状況 (8020推進財団 指定研究事業報告)
- Web調査による定期歯科受診の要因 : 受診者と歯科医院の特性
- Web調査による定期歯科受診の要因 : 受診者と歯科医院の特性
- 2010年における学齢期のフッ化物配合歯磨剤の使用状況
- リスク発見・保健指導重視型の成人歯科健診プログラムの保健指導における行動目標の設定と達成度
- 歯科保健を担う人的資源の特徴
- 日本人の口腔状態の推移〜「8020」達成度の推移と見通し
- 2010年における学齢期のフッ化物配合歯磨剤の使用状況
- 地域自立高齢者の咀嚼能力と体重の変化との関連性-3年間の縦断的調査-
- 地域の健康安全に従事する公衆衛生行政職員の人材養成に関する研究
- 地域高齢者の咀嚼能力と全身の健康状態との関連性-栄養状態・体力・医療費からの検討-
- 地域在住高齢者における食事づくりの実践別にみた栄養摂取と咀嚼との関連
- O-20 歯科専門家が考える水道水フロリデーションができない理由と,どうすればできるか(一般口演)
- O-15 地域において展開された生活歯援プログラムの検討(一般口演)
- P-3 児童にフッ化物無配合歯磨剤を使用させる保護者の歯科保健行動特性(ポスター)
- P-91 政策声明「う蝕のない社会の実現に向けて(仮称)」の作成について(ポスター)
- 口腔保健の指標とその評価・調査方法を考える(シンポジウムIII)
- 全国の市区町村および都道府県型保健所における歯科保健担当者のプロフィールと業務実態
- 地域保健行政従事者に対する系統的人材育成に関する検討
- 行政機関・歯科医師会・大学の連携に基づく地域高齢者への口腔保健プログラムの評価