70歳高齢者の歯の喪失リスク要因に関する研究
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概要
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本研究では,地域に在住する70歳高齢者を2年間追跡し,歯の喪失の発生状況を把握するとともに,全身健康状態も含めた歯の喪失リスク要因を明らかにすることを目的としている。1998年に新潟市在住の70歳高齢者599名を対象にベースライン調査を行った。分析対象者は,ベースライン調査を受けた有歯顎者554名のうち,2年後に追跡調査を実施できた402名(男214名,女188名)である。まず,歯の喪失の発生状況をみるために,喪失歯数の分布,一人平均喪失歯数,歯種別および歯,歯周の状況別の喪失歯率を算出した。さらに,2年間の歯の喪失の有無とベースライン時の口腔および全身状態,質問紙項目との関連をみるためにLogistic回帰分析を行った。調査期間中に歯を1本以上喪失した者は124名で,喪失歯の発生者率は30.8%一人平均の年間喪失歯数は0.27本であった。歯の喪失の発生は比較的広く起こっていたが,喪失歯数別の人数分布は非常に偏っていた。歯の喪失リスクに間するLogistic回帰分析の結果,BMIが24以上(20〜24を基準),IgG高値異常(1,901 mg/dl以上),日常生活動作(歩行,階段昇降,椅子からの立ち上がりなど)の支障あり,LA(Loss of attachment)≧6mmの部位の割合が4%以上,クラウン装着歯数が9本以上(0本を基準),根面未処置う蝕を保有の者が,有意に歯を喪失しやすいことが示された。以上の結果から,歯周状態や歯の修復状況,根面う蝕など口腔局所の要因に加え,高齢期の全身健康状態が歯の喪失にかかわっていることが示唆された。
- 2002-10-30
著者
-
安藤 雄一
国立保健医療科学院
-
宮崎 秀夫
新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻口腔健康学講座予防歯科学分野
-
宮崎 秀夫
新潟大学大学院医歯学総合研究科
-
宮崎 秀夫
新潟大学大学院口腔健康科学講座
-
葭原 明弘
新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔保健推進学分野
-
宮崎 秀夫
新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔健康科学講座予防歯科学分野
-
清田 義和
新潟県福祉保健部
-
清田 義和
新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔健康科学講座
-
葭原 明弘
新潟大学大学院医歯学総合研究科
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