甘藷の塊根肥大と地温との関係に関する一考察
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概要
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1.低(15℃), 中(25℃), 高(35℃)地温の昼夜組み合わせ区を設け, 移植後39日間および60日間の生育と塊根肥大におよぼす地温の影響をみた.2.地上部の生育は高地温ほど旺盛であった.一方, 塊根の肥大は中地温区が最大で中, 低地温または中, 高地温の組み合わせ区がこれにつぎ, 低, 高地温のみ, またはその組み合わせ区において最低となった.3.組織学的にみた場合, 低または高地温による塊根肥大抑制の機構は両者で様相を異にすることがわかった.すなわち, 低地温では木化の進行が少ない反面, 第1次形成層の形成, 活動が著しく抑制されること, また高地温では第1次形成層の発達は比較的順調であるが, 導管周辺部柔組織の木化が著しいことのために, ともに第2次形成層が形成されがたいことが肥大抑制の主因であると判断された.4.低または高地温によって細根に留まっていた根は, 中地温に移すことにより再肥大をおこす.前者においては根の中央近傍の柔組織の活性化が, 後者においては第1次形成層の活性化がおこり, その後, 第2次形成層の形成, 活動を伴う方向をとるものと考えられる.5.塊根組織の熱伝導の測定を試みた.上述した肥大の良好であった区の塊根は, 吸熱側と放熱側の平均熱流量が比較的大なる傾向にあることがわかった.この一因として水分含量の差異が考えられるが, これを確認するために, 数種の高, 低澱粉品種の塊根を材料として, 組織の水分含量と熱伝導率を測定した結果, 両者間には密接な関係があることが推定された.しかし本実験においては供試材料が少ししか得られず, 従って明確な結論は差し控えるが, 今後, 生体の温度反応に対する生理学的解明への一つのいとぐちになるのではないかと期待される.
- 1987-03-16
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