甘藷の地上部の発達と塊根形成との関係 : I.1次分枝の形成部位の差違が地上部の発達および塊根の形成におよぼす影響
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概要
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甘藷品種ミナミユタカを用い, 生育の進行に伴う地上部および塊根の発達の様相を追跡するとともに, 主茎の低節位における1次分枝の切除を施した場合の影響について検討した.1.標準区では主茎の低節位に形成した6本の1次分枝のみが, また高節位分枝区では主茎の第10節位以降に形成した12本の1次分枝が旺盛な成長を示し, その後の地上部発達の母体となった.2.生育の進行に伴い, 順次高次の分枝が形成され, 標準区では4次分枝まで, 高節位分枝区では3次分枝までの形成が認められた.この場合, 高節位分枝区では1次分枝の形成開始が標準区より約25日遅れたが, 以後の各次元の分枝の形成開始の時間間隔は両試験区とも一致していた.3.標準区と高節位分枝区の茎葉の発達の消長はとくに生育後半に著しく異なっており, 高節位分枝区では移植後75日目から100日目にかけて葉数が著しく増加した後, 再び急激に減少した.この減少はとくに1次分枝の枯死の進行が著しかったことと3次分枝の形成がほとんどおこらなかったことに起因していた.茎葉のこのような衰退の原因の1つとしては, 葉の同化産物の塊根への転流の抑制によって葉の老化が著しく進行したことによるのではないかと考えられた.このことは生育後期に塊根の乾物重がほとんど増加しなかったことからもうかがわれた.
- 鹿児島大学の論文
- 1989-03-15
著者
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