甘藷の地上部の発達と塊根形成との関係 : 第3報 分枝系の発達とその品種間差
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概要
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塊根の肥大特性の異なる甘藷品種シロユタカとミナミユタカを材料として, 生育の進行に伴う茎葉の発達形態と塊根肥大との関係を明らかにし, さらに品種による特徴の差異を比較した. シロユタカは生育初期に茎葉の発達が著しく促進されたが, これは移植後30日から60日にかけて株元に形成された1次分枝および2次分枝の生長が著しいことによるものであった. これに対してミナミユタカは2次分枝の形成がごく少なく, 茎葉の初期生育はシロユタカに劣っていた. その後, 1次分枝の枯死による乾物重の減少はあるものの, 生育後期までシロユタカの茎葉はミナミユタカより優勢であった. このことに対応して, 塊根の肥大もまた生育初期からシロユタカが優り, その差は生育が進むにつれて拡大する傾向となった. 一方, 株元近傍における分枝の発達と主茎基部直径の増大との間には密接な関係が認められ, 1次分枝および2次分枝を多数形成するシロユタカの方が直径の増大はより著しかった. また, このような直径の増大は2次維管束幅の増大によるものであった. 以上のことから, シロユタカではより早い時期に株元近傍に分枝が多数形成することによって生育初期の茎葉の発達が優勢となり, このことが塊根の肥大にとって有利に働いたのではないかと推察された. また, これと関連して主茎基部直径の増大が物質転流の上から意義があるのではないか考えられた.
- 1993-06-05
著者
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佐々木 修
鹿児島大学
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佐々木 修
鹿児島大学農学部
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植木 健至
鹿児島大学農学部
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湯田 敦彦
鹿児島大学農学部
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湯田 敦彦
鹿児島大学農学部:(現)日本農薬株式会社生物研究所.
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植木 健至
鹿児島大学農学部:(現)鹿児島大学
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