南九州の黒ボク土に多量施用された生牛糞の残効について : 陸稲の地上部および根の生育様相の変化
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概要
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5年間, 生牛糞を連用(100t, 48t, 0t/10a/年)した黒色火山灰畑土壌(黒ボク土)を用い, その後の3年間, 夏作には陸稲, 冬作には小麦を無肥料で栽培し, 地上部, 地下部の生育調査を行い, それがどの程度の残効をもつかを調査した.1.陸稲について無肥料でポット(1/5000a)栽培を行い, 地上部の生育状況を3要素区(元肥のみN.P.K各1g)と対比した.生牛糞多施用区に着目すると, 100t区1作目(1年目)は穂数に大差なく, 100t区3作目(2年目)および48t区1作目は穂数がやや劣ったが, いずれも1穂粒数, 登熟歩合で優ったために結果的には3区ともに穂重-収量増を得た.とくに100t区1作目での多収が顕著であった.これに対し100t区5作目(3年目), 48t区3作目および48t区5作目は穂数減が著しく影響したため減収した.2.根箱を用い, そのガラス面に現われた陸稲の根の生育状況を100t区と0t区土壌で比較した.100t区1作目においては分けつ初期から出穂期まで, また100t区3作目では幼穂形成期より出穂期まで冠根ならびに分枝根の発生が旺盛であった.とくに1作目は総根長においても最も大であった.しかし5作目ともなると根量は激減し, 0t区1作目, 2作目と大差がなくなった.3.以上のように, 過度に生牛糞を施用した場合の残効は明らかに認められるが, その持続期間は1〜2年で比較的短いことが特色的であった.これは黒色火山灰土壌の特性の一つであるかもしれぬ.
- 1984-03-15
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